『五三経』(ごさんきょう、巴: Pañcattaya-sutta, パンチャッタヤ・スッタ)とは、パーリ仏典経蔵中部に収録されている第102経。
釈迦が、比丘たちに、死後などに関する諸見解を列挙しつつ、仏法を説いていく。
経名は、死後に関する見解が、「有我論」「断滅論」「涅槃論」の計三種、更に「有我論」を「有想論」「無想論」「非想論」に分割した場合、計五種の見解に分かれることに因む。
構成
登場人物
- 釈迦
場面設定
ある時、釈迦はサーヴァッティー(舎衛城)のアナータピンディカ園(祇園精舎)に滞在していた。
釈迦は比丘たちに、死後にまつわる諸見解として、
- 死後も我が有る「有我論」
- 有想の我が有る「有想論」
- 「無色界」の想を有する有想論
- 「色界」の想を有する有想論
- 「両界(色界・無色界)」の想を有する有想論
- 「一つ」の想を有する有想論
- 「多く」の想を有する有想論
- 「有限」の想を有する有想論
- 「無限」の想を有する有想論
- 無想の我が有る「無想論」
- 「無色界」の想を滅する無想論
- 「色界」の想を滅する無想論
- 「両界(色界・無色界)」の想を滅する無想論
- 「それ以外」の想を滅する無想論
- 非想(有想でも無想でもない)の我が有る「非想論」
- 「無色界」の想を越える非想論
- 「色界」の想を越える非想論
- 「両界(色界・無色界)」の想を越える非想論
- 「それ以外」の想を越える非想論
- 有想の我が有る「有想論」
- 死後に我が滅する「断滅論」
- 現世で我を滅する「涅槃論」
などを列挙する。
更に、世界・過去に関する諸見解として、
- 時間について説く「時間論」
- 「常住」である時間論
- 「無常」である時間論
- 「常住かつ無常」である時間論
- 「非常住かつ非無常」である時間論
- 空間について説く「空間論」
- 「有限」である空間論
- 「無限」である空間論
- 「有限かつ無限」である空間論
- 「非有限かつ非無限」である空間論
- 有想について説く「有想論」
- 「一つ」の想を有する有想論
- 「多く」の想を有する有想論
- 「有限」の想を有する有想論
- 「無限」の想を有する有想論
- 苦楽について説く「苦楽論」
- 「楽のみ」である苦楽論
- 「苦のみ」である苦楽論
- 「苦楽」である苦楽論
- 「非苦非楽」である苦楽論
などを列挙する。
そして、仏道の禅定は、これらの見解を越えるものであることを説く。
比丘たちは歓喜する。
日本語訳
- 『南伝大蔵経・経蔵・中部経典3』(第11巻上) 大蔵出版
- 『パーリ仏典 中部(マッジマニカーヤ)後分五十経篇I』 片山一良訳 大蔵出版
- 『原始仏典 中部経典3』(第6巻) 中村元監修 春秋社
脚注・出典
関連項目
- 六師外道
- 六十二見
- 禅定
外部リンク
- Pañcattayasuttaṃ - Tipitaka.org




