ウネンラギア亜科(ウネンラギアあか、Unenlagiinae)は、主に後期白亜紀の南アメリカ大陸から化石が発見されている、ドロマエオサウルス科に属する獣脚類の恐竜の亜科。北半球に分布していたドロマエオサウルス亜科など真ドロマエオサウルス類と比べて吻部が細長く、また走行に適した脚の構造をしていた。小型の獲物を捕らえていたと推測されている。
特徴
ウネンラギア亜科の大半はアルゼンチンで発見されている。最大の属は全長5 - 6メートルのアウストロラプトルで、最大のドロマエオサウルス科恐竜の一つでもある。ウネンラギア亜科を他のドロマエオサウルス科から区別する特徴には、長い血道弓と上方突起により硬くなった尾、縮小した第二趾の爪、後方に向いた恥骨、非常に長い吻部がある。またウネンラギア亜科には上端が狭まってアークトメタターサルに近い構造をなした中足骨を備えた細長い後肢がある。このような真ドロマエオサウルス類とは異なる解剖学的特徴は、パンゲア大陸がゴンドワナ大陸とローラシア大陸に分かれたことにより、他の近縁属種から地理的に孤立して異所的種分化が起きたことによる。
系統
2017年のハルシュカラプトルの記載の際にCauらはウネンラギア亜科を以下のように位置付けたドロマエオサウルス科の系統解析を発表した。
2019年にヘスペロルニトイデスが記載された際、ウネンラギア亜科を含む原鳥類の多くのグループに系統解析が行われた。同研究ではラホナヴィス、ピロラプトル、ダコタラプトルがウネンラギア亜科に位置付けられた。
古生物学
Gianechiniらによる2020年の研究では、ゴンドワナ大陸に生息していたウネンラギア亜科は ローラシア大陸の真ドロマエオサウルス類とは異なる狩りの特殊化を遂げていたことが示唆されている。真ドロマエオサウルス類の第II趾の第二趾節骨は短く、短く広い中足骨や、趾骨と中足骨の蝶番状の関節面と組み合わさって、趾骨により生み出される力を強めることができた。おそらくこれにより真ドロマエオサウルス類はウネンラギア亜科と比較して足の握力が強く、より大型の獲物を効果的に押さえつけて殺傷できた。対してウネンラギア亜科の中足骨はアークトメタターサル構造に近くかつ細長く、そして蝶番状の関節も真ドロマエオサウルス類ほど発達しておらず、彼らと比較して走行性が高く高速で走ることができたと推測される。加えて、第II趾の第二趾節骨が長いことから、小型で素早い獲物を捕らえるための俊敏な動作も可能だった。これらの形態の差異は、移動能力や狩りのスタイルを左右し、南北半球でそれぞれのドロマエオサウルス科を形作った進化の過程に影響した、重要な特徴であった可能性がある。
出典




